ロールベールラップサイレージにおける調製の注意点

ロールベールラップサイレージは、利便性に優れる貯蔵方法です。特にバンカーサイロやスタックサイロを作るスペースの無い生産者には有用です。 正しい作り方をすれば、高品質なサイレージを得ることができます。

ロールベールラップサイレージを作る際、刈取り時の原料作物の乾物率はサイレージの管理方法に非常に大きな影響を与えます。梱包用ネットや包装用フィルムは、ロールベール1個分の重さと圧力に合わせて作られており、重ね置きに耐えることができます。しかし乾物率が40%或いはそれ以下の場合、ロールベールラップサイレージを作る事はおすすめしません。これより水分量が多い場合、ビニールが滑って密閉できずに空気が内部に入り込みやすくなります。多大な人件費と材料費を要してラップしても、これではサイレージの乾物量と消化率が低下してしまいます。もし適切にロールベールラップサイレージを作り適切に保管出来れば、その乾物ロスは僅か2-3%に抑える事が可能です。

計画

ロールベールラップサイレージを作る上で、何処にどれだけの数を保管するか(出来るか)など農場の制限を理解し計画を立てる事は基本です。 ロールベーラーが、使用する包装用フィルムに対して適切に設定されていることを確認します。 乾草ベールでラップの伸びを試し、メーカーの推奨事項を満たすことを確認してください。 ベーラーのプレストレッチング装置は十分に点検し、必要であればグリースを塗りなおし、バネを取り換えて下さい。

包装用フィルム

包装用フィルムの種類、表面の粘着性、伸縮性そして色は、サイレージの品質に大きな影響を及ぼします。色について言えば、濃い色のフィルムは中のサイレージ温度を6℃も高くすることがあります。保管する地域の天候が温暖であるほど、明るい色のフィルムでの保管の必要性が高くなります。ラップ内の温度上昇はタンパク質や糖の変性による栄養価の損失を促し、家畜にとっての利用価値を低下させてしまいます。

ベールのラッピングには適切なベールラッパーを用いることをおすすめします。それが出来ない場合でも、必ず製造開始から8時間以内に貯蔵場所で包装してください。

もし圃場で包装しなければならない場合は、草や枝などでラップフィルムが傷つかないように注意が必要です。ラップサイレージを動かす際も十分に注意し(例え柔らかいベールクリッパーで挟んで持ち上げたとしても、フィルムの損傷は起こり得ます)、最終保管場所へ8時間以内に移動させてください。

ロールベールラップサイレージの積み重ね方

乾物率の低いロールベールラップサイレージを積み重ねた場合、下段のベールの形が崩れやすく包装フィルムが緩むことがあります。これは乾物量と飼料の栄養価の損失につながり、廃棄と無駄を生じさせます。

 

保管場所

最高品質のサイレージを得るためには、ロールベールラップサイレージは積み重ねずに包装フィルムを傷つけない確りした場所に保管すべきです。

ラップサイレージは包装直後から「鳥害」対策も必要で、それだけに保管場所も厳選しなければなりません。

保管に適した場所と注意点を、下に記載しています。:

  • 木や水路から離れたところ
  • 平で且つ、水はけの良いところ
  • 害虫や害獣の来ないところ
  • 丈夫なプラスチックパレット又は固められた土の上
  • 必要な場合は、農場の家畜から遠ざけます。
  • 定期的に破損がないかを確認し、適切に補修します。

 

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