多くの場合、生産者はカビ毒の存在に気付いていません。しかしエサや畜舎の中に目に見えるカビや悪臭はなくとも1、カビ毒は存在する可能性があります。カビ毒は家畜の生産性を低下させ、健康と繁殖に負の影響を与え、さらには食品の安全性を脅かすことさえあります。
ラレマンドアニマルニュートリションのサイレージテクニカルサービスのレナト・シュミット博士は、「カビ毒は特定のカビによって産生されますが、その量は目に見えるものではなく、また逆も然りでカビ毒の量が多ければこうなる、と目に見えてわかるものでもありません。」と述べています。 「カビ毒汚染を完全に回避することは事実上不可能です。 カビ毒は作物が圃場に生えている段階でも貯蔵中でも、或いは給餌しているエサの中でさえ産生されるのです。」
カビ毒の発生を減らすためには、害虫や病気に強い品種を選んで播種し、収穫後の原料草を圃場に放置したままにせず、上手に転作をする事が大事です。加え、不適切な施肥など作物へのストレス要因を軽減する事も必要です。しかしながら害虫の蔓延や、天候によって作物に生えるカビ、そこから産生されるカビ毒の影響を避けることはできません。
圃場に生えている作物がこのようなストレスを受けた時、カビが蔓延する確率は極めて高くなります。シュミット博士は作物がこのような状態にある際のサイレージ管理には、特別な注意が必要であると言っています。
カビ毒を産生するカビおよび変敗の原因となるすべてのカビを最小限に抑えるために、的確なサイレージの総合管理プログラムの一部として実績のあるサイレージ調製材を使用する必要があります。 たとえば、ラクトバチル ス ブーケンライ NCIMB 40788を含むサイレージ調製材は、変敗の原因となる酵母の成長を抑え、サイレージの発熱と変敗に対する耐性が高くなります。 実際にラクトバチルス ブーケンライ NCIMB 40788Lを含むサイレージ調製材はFDA（アメリカ食品医薬局）による独自検証の結果、好気的安定性の改善が認められています。
サイレージ作りの過程で、カビは空気（酸素）が存在する温かい個所で成長する傾向がある、とシュミット博士は指摘します。 これは通常、踏圧と密閉の甘い表面層、サイロの角や縁または踏圧と密封が不完全なため生じる空気の溜まり場で起こります。
「目に見えるカビの生えたサイレージがあった場合、その部分は廃棄してください。」とシュミット博士は助言します。 「たとえ少量でも変敗したサイレージをエサに混ぜると、飼料全体の乾物摂取量とNDF（中性デタージェント繊維）の消化率が低下することが示されています2。もったいないからと変敗したサイレージを給餌した場合は、家畜の生産性、群れ全体の健康、繁殖成績をも低下させる危険性があります。」
1 Rankin M and Grau C. Agronomic Considerations for Molds and Mycotoxins in Corn Silage. University of Wisconsin-Extension. Focus on Forage,2002;(4)1. Accessed March 8, 2018. Available at https://fyi.uwex.edu/forage/agronomic-considerations-for-molds-and-mycotoxins-in-corn-silage/.
2 Whitlock LA, Wistuba T, Siefers MK, Pope RV, Brent BE, Bolsen KK. Effect of level of surface-spoiled silage on the nutritive value of corn silage-based rations. Cattlemen’s Day 2000. Accessed May 21, 2015. Available at: http://krex.k-state.edu/dspace/bitstream/handle/2097/4652/cattle00pg22-24.pdf?sequence=1.
