バンカーサイロやスタックサイロを用いて良質なサイレージを作るためには、適切にカバーを掛けて重石を載せる事が大切です。この作業は、確実に収益の増加につながります。
サイロをしっかり覆うことは、お金の節約に繋がります。そしてサイレージの重要な栄養素を保持し、乾物量(DM)の損失を減らし、飼料の衛生面も向上させます。 手間をかけてサイロをしっかり覆うことには相応の価値があります。
レナト シュミット博士(ラレマンドアニマルニュートリション サイレージテクニカルサービス)
サイロをカバーで密閉することで、サイレージに必要な嫌気環境を作り出すことができます。 その結果、カバーを掛けていないサイロに比べて発酵品質が向上します。 発酵後の保管中にも、適切なカバーは腐敗の原因となる酸素のサイロへの進入を防ぎます。
たとえば12m×30mのバンカーにコーンが適切なカバーを掛けて密封された場合、出来上がりのサイレージは約22万円( $2,000 )の乾物回収率の向上が期待されます。逆に覆われていないサイロの場合はサイレージが変敗し、これを給与すると飼料摂取量と飼料消化率が低下することとなります。
高品質のシートで密封し適切な重しをのせる事によって、損失を防ぐことができます。シート自体の劣化を防ぐために、厚さは少なくとも90μm以上、2層のプラスチック製(内側は黒色、外側は白色)の物を使用してください。 またシュミット博士は、酸素バリア機能が強化されたプラスチックフィルムの使用を提案しています。
シートの上にしっかりと重しを置くことによってサイロの中に空気が入るのを防ぐことができます。 丸タイヤを重しに使う事は何年も前から行われて来ましたが、タイヤはとても重いうえに保管の際もかさばります。タイヤの内側に溜まった雨水に蚊が卵を産みボウフラが発生する可能性もあります。西ナイルウイルス(WNV)伝播への懸念の高まりやアメリカの州規制もあり、生産者は次のような新しい代替品を検討しています。
- タイヤをリムに付けたままにしたり、タイヤの側面を切り取ったり、タイヤの側面に穴を開けたり、タイヤを半分に切断したりして、タイヤを改造する
- タイヤをプラスチックで覆い、雨水が溜まらないようにする。
- 業者に頼みタイヤに蚊駆除剤処理をする。
- 全タイヤから側面だけくりぬいたものに変える。
- 袋詰めした砂利や砂など、タイヤの代替品を探す。
シュミット博士は、サイロを覆うシートの状態にも気を付けるよう助言しています。シートに破れや穴があると、被覆の効果が低下し、酸素がサイロの中に入ってしまうからです。
サイロの適切な被覆と密閉のためにかける労力には、十分に見合うだけの経済的な価値があります。 シートに載せる重しを変える方法は沢山あります。長い目で見て、価値があるものを選ぶことを忘れないでください。
レナト シュミット博士(ラレマンドアニマルニュートリション サイレージテクニカルサービス)