今回は、イギリスからサイレージの技術情報をお届けいたします。日本の状況とは合わないところもあるかもしれませんが、ご参考にしてください。
今こそ2020年のサイレージの出来を振り返りましょう。収量とサイレージの品質を向上させ、飼料コスト削減と収益性向上を目指すためにどこを変更し改善すべきかを考える時です。
サイロをじっくり観察することによって、沢山の答えが見つかります。
サイロには十分量の原料作物を詰めましたか?
原料作物からより多くの乳や肉を得るための原点は、原料作物の収量を多くすること、そして高品質の原料作物を詰めることです。飼料価値が低いサイレージをいくら作ったとしても、有意義とは言えません。
計画を立てることはとても重要です。牧草サイレージ、トウモロコシホールクロップサイレージ、その他の穀物のホールクロップサイレージなど、実際に給与したすべてのサイレージについて、実際に給与できた量を最初に計画した量と比べてみてください。 十分な収量のサイレージを生産できたか、サイロは満杯だったか、品質はどうだったかを確認します。
原料作物から得られる乳や肉の生産量を増やすには、イギリスでは飼料中のサイレージの割合を少なくとも 50 ~ 60% に増やす必要があります。冬期飼料中のサイレージ割合がこれよりも少ない場合は、原料作物から得られる畜産物の生産量の費用対効果を考え、それを達成するために必要な計画を今から考えてください。
サイレージの品質はどうでしたか?
十分な量の畜産物を生み出すことができる、高品質サイレージを作ることが出来ましたか? 完成したサイレージを分析することで、どこまで目標が達成できたか、どこを改善すれば更に良くなるかなど、多くの情報を得ることができます。
グラスサイレージの場合の例では、代謝エネルギー(ME)に注目してみてください。グラスサイレージでは、平均 11.0 MJ/kg DM(約2.6 Mcal/kg) 以上のエネルギーがあるべきで、刈取時期の異なる収穫ごとに 1MJ (238.85kcal)以上のばらつきがないようにします。これ以上のばらつきは収量にも影響を与え、刈取間隔が空きすぎていると考えられます。 年に複数回収穫することで、収量を損なうことなくエネルギー含量を向上させることができます。
乾物率はどうでしょうか?例として、踏圧不良によるロスを最小限に抑え、食下量を最大限に引き出す ために、乾物率30~35%のグラスサイレージを作りたい場合を考えます。もしグラスサイレージが乾きすぎていたら、刈り取ってから拾い集めるまで何回ひっくり返したか思い出してください。たいていの原料作物は実は皆さんが思っているほど反転は必要ではありません。
次に NDF を見てみましょう。NDF含量は45%程度が望ましいです。 もしNDFがこれより高い場合は、収穫時の草は成熟しすぎていて、消化しにくい状態になっていた可能性があります。
分析結果を解析することで、サイレージ作りのプロセス改善の良いヒントが得られ、原料作物からの乳や肉の生産量を増やすことができます。
サイロへの詰め込みと密閉の出来はどうでしたか?
バンカーやスタックサイロの表面をよく見てください。 廃棄しなくてはいけないサイレージはどれくらいありますか?バンカーの上部と壁際に変敗した層がある場合、カバー掛けと重石が不十分であったことを表しています。 この廃棄サイレージに慣れてはいけません、どうすればより良い密閉ができるかを考えましょう。
サイロ表面の圧縮状態(密度)はどうですか? もし簡単に指をサイロ表面に差し込むことができるような場合は、原料作物が十分に踏圧されておらず、変敗や発熱が見られるはずです。
サイロ内の所々に発熱した箇所はありませんか?サイレージの発熱は原料作物が十分に圧縮されていなかったこと(踏圧不足)を示すもうひとつのサインです。
劣質なサイレージは、莫大な費用の損失であるだけでなく給餌可能な飼料量の減少につながります。今年はより良いサイレージ作りを計画し、廃棄量を最小限に抑えましょう。
開封後のサイレージの好気的安定性はどうでしょうか?
バンカーやスタックなどのサイロが開封されると、すぐに空気が入ってきて酵母やカビが増殖し、変敗や発熱につながる可能性があります。 以下の手順を踏むことで、サイレージの発熱と変敗を大幅に減らすことができます。
- サイレージ調製材を使用する場合は、サイレージにする原料作物に合ったものを使用し、廃棄と発熱を減らすことが証明されているものを選んでください。またその調製材の製品力が第三者機関による試験データによって証明されていることを確認してください。
- 壁面も含めバンカーはしっかり密閉してください。理想的には酸素バリアシートでバンカーを確実に密封してください。
- サイレージが適切な密度でサイロに充填されていることを確認し、開封後に取り出す際に はサイレージディフェーサーまたはブロックカッターを使用してください。使用するサイレージの分だけシートを後ろに移動させてください。
- バンカー(サイロ)を定期的にチェックし、シートが損傷していないかを確認します。傷があった場合には、酸素バリアテープで補修します。
今シーズンの計画を立てましょう
上述した内容を念頭において、適切なサイレージの品質測定とサイロの管理を実施しましょう。改善が必要な管理を特定することができれば、サイレージから得られる乳と肉の生産量を確実に向上させることができます。
対象となるトピックの詳細については、ラレマンドバイオテック株式会社にお問い合わせくださいませ。