細菌が入っているサイレージ調製材の有効性は、原料草に添加した細菌がサイレージ調製工程の最初から最後まで生き残れるかどうかで決まります。細菌の生存率は、菌株の種類、製造工程の質、形状、包装形態、保存状況、取り扱いの適切性によって決まります。そして細菌が生存している上で、最大の効果を得るためには、均一に添加することが必要です。
品質保持期限
細菌入りのサイレージ調製材の品質保持期限は、保存状態によって変わります。保存方法が不適切な場合、製品の品質保持期間が短くなったり効力が低下する可能性があります。
- 期限の切れたサイレージ調製材は使わないで下さい。
- 使用前に、品質保持期限(最適な効果が期待できる期限)を確認して下さい。
- 品質保持期限を過ぎた製品の在庫が手元にある場合、分析センターで細菌の生存率を調べてもらいましょう。
顆粒添加タイプのサイレージ調製材の取り扱い
乾いた状態で添加する顆粒添加タイプのサイレージ調製材の場合、ホッパー内で細菌が死滅する可能性があります。主な原因を下に記しています。
- 空気への曝露
- 空気中の水分の吸湿
- 環境温度の上昇
吸湿によって、製材の流動性が損なわれることもあります。製品の最適な効果を得るために、1日のうちに使い切らなかった(ホッパー内に残された)顆粒製材は廃棄して下さい。ホッパーの蓋を締めたとしても、細菌の生存率を高めることはできません。
ホッパー内での、細菌の生存率(%)
液体添加タイプのサイレージ調製材の取り扱い
液体添加タイプのサイレージ調製材の場合、粉末を水に溶かした後の溶液は低温に保ってください。さもないと細菌はすぐに死んでいってしまいます。細菌製材が溶けた溶液を、高温にしないで下さい。
気になる場合には、粉末製材を水に溶かした時の生菌数データをメーカーに見せてもらいましょう。溶液がドロドロになってきた場合は、廃棄して下さい。細菌が死滅しDNAを放出することでドロドロになります。
溶液の有効性
サイレージ調製材を水に溶かした後の細菌の生存率は、形状と製造技術次第で変わります。菌数の多い製品を作る技術を持っている会社もあります。そのような製品の特長として、次の点が挙げられます。
- 高濃度のため、容量の小さい添加器でも使いやすい
- 製材が沈殿しにくいので、均質な添加が可能
- 非常に溶けやすい形状
- 希釈後、最大24時間生菌数を保つ
添加
サイレージ調製材の添加速度は、適切に調整して下さい。添加速度は1日に数回、確認が必要です。サイレージ発酵を促すには、サイレージ調製材が原料草全体に均等に行き渡ることが重要です。
サイレージ調製材は、チョッパーボックスまたはハーベスターのアクセラレーター内で添加すると、最もうまく行きます。ベーラーやセルフローディングワゴンの場合は、添加先をピックアップまたはローターに向けると、原料草全体によく混ぜることができます。できれば添加器では、溶液を低温に保つことが出来る断熱性のタンクを使って下さい。製品ごとにメーカーが推奨する添加方法に従わなくてはいけませんが、細菌の活性維持のためにタンクに氷を加えることも可能です。