鳥害から守る:サイレージの質への影響

ラレマンドアニマルニュートリション Bernard Andrieu

フランスでは、植え付けたばかりのトウモロコシに対するカラスやその他の鳥類による被害が増加しています。鳥害対策として使われていた一部の忌避材の削減や禁止によって、被害は悪化しています。鳥の数と被害を抑えるための選択肢が大きく失われています。

カラスやその他の鳥は、播種直後から4~5枚葉が出る段階までのトウモロコシを食べたり傷つけたりする傾向があります。彼らは植え付けラインに沿って種子を食べるだけではなく、種子を探すために圃場の地面の中から作物を引きちぎることもあります。この激しい鳥の攻撃によって、生産者の中には十分な飼料を確保するために、圃場の一部または全体を植え替えなければならない人もいます。

被害を受けたトウモロコシの植え直しは、完全な対処法ではありません。種や燃料、時間、収量などに最大300ユーロ(約4万5000円)の追加費用が掛かります。さらに悪いことに植え直した種や幼苗は、鳥への二回目の餌の供給源となり、彼らが長く圃場に留まることによって被害が拡大することもあります。このように植え直しは被害と損失の継続になることから、ある程度制限されます。

鳥によって引き起こされるトウモロコシのもう一つの被害は、トウモロコシが定着しなかった場所に雑草が生えることです。 雑草の繁茂は、その場所にとって好ましくない種を数年間にわたって増加させ、多くの問題を引き起こします。またいくつかの研究報告によると、雑草の密度や有害性によっては、飼料の損失が80%を超える可能性があることが示されています。雑草防除を誤ると、栄養素と水分の取り合いによって、収量が最大で20%失われることがあります (最大で3トン/ヘクタール)。これらの損失は、作物の生育(繊維)が制限されることに起因し、特に大部分は子実の量とでんぷんの蓄積の制限によるものです。

鳥害が深刻な圃場で雑草の除草を成功させることは、ほぼ不可能です。生産者が噴霧器が設置された地上高のある車を持っていない限り、より遅い時期に雑草管理を行うことはより危険で複雑な作業になります。 加えて防除剤が効率よく浸透するためには、十分な水分を供給してくれる天候(=雨)に頼る必要があります。

鳥害は、ヘクタール当たりの作物本数を減らすことがあります。これは収穫時の収量減少に直結します。

有害な雑草があった場合、動物の生産成績のさらなる低下につながることもあります。イヌホウズキとチョウセンアサガオは、牛に有害なアルカロイドを産生する可能性があります (含量によっては、致死量になることも)。1年草のエノキグサも非常に侵襲性が高く、 大量に摂取した場合は動物に害を与え、低量であっても生産成績を低下させることがあります。

最後に、同じ圃場に播種時期の異なる作物があると、成熟段階がばらつくため、収穫時の作物の品質が不均一になります。サイレージ用のトウモロコシを育てる場合、 生産者は収量と繊維やでんぷん量などの栄養価が最大になる時期に収穫する必要があります。圃場の一部で植え直しが行われた場合、収穫適期の判断がより複雑になります。植え直したトウモロコシが30%以下の場合、最初に植えていたトウモロコシの収穫に着目するべきでしょう。 半分を植え直した場合、トウモロコシの成熟と品質を正確に見極める必要があり、最初に植えていたトウモロコシを通常よりす少し遅く収穫する必要があるかもしれません。これはマイナス面ばかりではありません。トウモロコシは収穫が遅くなるほど(乾物率40%)、でんぷん量が高くなる傾向にあるためです。

しかし最初に植えたトウモロコシの収穫が遅くなりすぎないように、特に注意する必要もあります。遅くなりすぎると、繊維やでんぷんの消化率に負の影響があり、サイレージの飼料価値が減少するためです。2回目に植えたトウモロコシが適切な成熟度に達しておらず、乾物率25~30%で収穫する場合、でんぷん含量が低くなる代わりに繊維消化率が高くなり、収穫の遅れによる汚染のリスクは低くなります。成熟度の異なるトウモロコシを使用する場合は、サイレージの好気的安定性を向上させる特別なサイレージ調製材を添加することをおすすめします。適切なサイレージ調製材を使用することによって、サイレージの栄養価を保つだけでなく、カビによる廃棄を大幅に減らすことができます。

鳥害による損失を減らすには、複数 のアプローチが必要です。全てに効果があるものはありませんが、様々な技術を駆使することが最大の防御になるでしょう。固く締まった苗床は鳥の攻撃を防ぐ助けになる一方で、ふかふかの苗床は鳥にとって種を見つけやすい状態です。 種を植える深さも重要で、浅い場合は鳥に見つかりやすいため、4~5 cmの深さに植えるべきでしょう。風船や凧と、不快な音声の組み合わせには、鳥の数を減らす効果があることが分かっています。しかし時間経過とともに鳥は慣れてしまうので、長期的な効果を確保するためには定期的に動かす必要があります。

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