農場の収益性を高めるためには、高品質なサイレージを牛に多く摂取させることが大切です。この目標を達成するためには、繊維の役割について理解する必要があります。繊維は、ルーメン機能に影響を与え、総乾物摂取量を変化させるため、乳生産とサイレージの利用に重要な役割を果たします。 農場では、牛が消化できる繊維量を考慮して、粗飼料の生産を計画しなくてはいけません。 サイレージの飼料分析において、多くの場合に繊維画分は、中性デタージェント繊維(NDF)とリグニンという指標で表されます。 より新しい解析では、その消化性から繊維の価値を示すNDFの消化率 (NDFd)も用いられています。 ADF (酸性デタージェント繊維)という指標もありますが、 通常この値が増えるにつれ、サイレージ中の繊維の消化率(NDFd)が減少します。
繊維のバランスを整える
繊維の消化率は、ルーメン内発酵やルーメン内の通過速度、さらには乾物摂取量にも影響を与えるので、重要な指標です。消化し易い繊維の割合がより高くなるほど、 ルーメン内発酵がより早くなり、乾物摂取が促されます。一方で ルーメン内で消化できない繊維画分は、ルーメン内に滞留し食欲を抑制します。どんな飼料原料でも同じですが、バランスが大切です。乾物摂取量と飼料効率を高めるためには、未消化繊維とのバランスを取りながら、NDFの消化率を最大化することを考えます。例えば放牧地に生えている若い草のNDF消化率はとても高く、未消化の繊維の含有率は低いです。そのためルーメン通過速度が速く、乾物摂取量が増加します。それとは反対に、乾乳牛に用いられる藁の多い飼料では、リグニン化が進んでおり、未消化NDFの含量がより多くなっています。このような飼料はルーメン内をゆっくりと通過し、乾物摂取量を減少させますが、ルーメンの充満度を高く維持する働きがあります。 ルーメンの健康を最大化することを考えると、そのような繊維は反芻を促すルーメンマットの形成に役立ちます。適正な反芻を保つことは 、高い生産性と健康なルーメン環境を維持するために大切です。物理的有効中性デタージェント繊維(peNDF)は、食い戻しを刺激し、 機能的なルーメンマットを形成します。飼料の物理的有効繊維は、ペンステートパーティクルセパレーター(写真)で篩い分けることで、測定することができます。サイレージ中のリグニン含量が高い場合、エネルギー源となる適切な量の易発酵性飼料を補うと良いでしょう。 易発酵性飼料はルーメンアシドーシスのリスクを増加させますので、バランスには気を付けましょう。繊維をよく理解することで、サイレージから得られる利益を最大化することができます。
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