サイレージ用乳酸菌が必要である理由

原料作物をサイレージにすることによって、農場では、安定した品質の粗飼料を長期間給与することができるようになります。収穫時期に縛られることなく給与できる自給飼料が増えることにつながるため、飼料費の削減にも役立ちます。原料作物のサイレージ化は、酸素の無い 嫌気条件下で促されます。サイレージの乳酸発酵は、 原料作物に着生している細菌が、糖類を利用してpHを低下させる乳酸を産生することによって自然に促されます。このサイレージの乳酸発酵が、原料作物中の栄養価の保持に役立ちます。しかしサイレージ発酵が自然に発生する現象であるなら、どうしてサイレージ用乳酸菌を別途で添加する必要があるのでしょうか?

 

サイレージの乳酸発酵を、自然着生の微生物だけに頼るのは賢いとは言えません。それらの微生物の菌種は極めて多岐に渡り、原料作物を効率的に乳酸発酵する能力に大きな差があります。ホモ乳酸発酵を行う乳酸菌は、自然着生のものであっても、糖をほぼ100% 乳酸に変換する能力を有します。しかし貯蔵開始時点において、自然着生の微生物中のそれらの存在割合は限られています。  原料作物にもともと付着している細菌の多くは、サイレージの乳酸発酵を促す働きが弱く、悪さをする菌すら存在します(図1)。サイレージの乳酸発酵が上手くいかなかった場合、サイレージのエネルギーやたんぱく質含量、乾物量、消化率が有意に低下し、腐敗による損失が発生します。

 

図1. 好ましくないサイレージ発酵

 

 

正しい農場管理の下でよく研究されて実績のあるサイレージ用乳酸菌を、自然着生の微生物の数より多く十分量添加すれば、効率的なサイレージ発酵を促すことができます。サイレージ用乳酸菌を使用する際には、原料作物の特性に合わせた製品を選ぶことが大切です。一般的にホモ乳酸発酵を行う乳酸菌は、素早く効率的なサイレージの乳酸発酵を促す目的で使用され、原料作物由来の高い栄養価を保持したサイレージ作りを助けます(図2)。

図2.サイレージ貯蔵中の理想的なホモ乳酸発酵

一方でレンチラクトバチルス ヒルガルディ CNCM I-4785 やレンチラクトバチルス ブーケンライ NCIMB 40788などのヘテロ乳酸発酵を行う乳酸菌は、サイレージの乳酸発酵の促進に加えて、サイロ開封後の発熱やカビの発生を抑える目的で使用されます。

これらのサイレージ用乳酸菌を使用することで、原料作物から得られる乳量や肉量を増やすことが出来るとともに、飼料費管理を向上させることができます。

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