ルーピン
ルーピンは、マメ科の一年草である。世界中で飼料・食料・サイレージ原料草として、多目的に利用されている。主に栽培されている品種は、白花ルーピン、黄花ルーピン、青花ルーピン、パールルーピン(ルピナスムタビリス)である。
白花ルーピンの種子は、良質な蛋白質を豊富に含んでいる。全ての家畜において、大豆の代替飼料として利用することができる。
乳酸
一般的に乳酸は、発酵によって産生される酸のうちで、最も酸性度が強い。そのためサイレージ発酵の初期段階に、原料草のpH低下を促して「漬物」を作る上で、原動力となる主要な化合物である。乳酸は乳酸菌によって産生されるが、菌種や菌株によって産生効率は異なる。また原料草に生来付着している乳酸菌数も、一様ではない。確実にpHを素早く低下させたい場合には、原料草に充分数の効果的なホモ型発酵の乳酸菌を添加することが重要になる。
乳酸はpHを下げる働き以外では、酵母やカビの増殖に負の影響を及ぼさない。サイレージに良く存在している酵母の多くは、乳酸を栄養源として増殖することが出来る。
乳酸菌
乳酸菌は、サイレージ発酵において最も重要な役割を果たす細菌である。酸素のない嫌気条件下において乳酸菌は、水溶性炭水化物(WSC)を乳酸を主とした各種有機酸に変換する。乳酸産生の結果pHは低下し、好ましくない微生物の増殖が抑止される。
乾物 (DM)
乾物とは、材料から水分を全て取り除いた後に残った物。乾物率は、まず生の材料の重量を量り、次にこれを乾燥させて乾燥後の重量を量り、その比率(%)で表す。乾物率(%) = (乾燥重量 / 生重量)x 100。水分率(%)=100 - 乾物率(%) 。
予乾
原料草を圃場に置いて干す工程のこと。通常はウィンドロウを作って乾燥させる。細断・詰め込みに先立って、原料草の乾物率を上げるために行う。
二次発酵
一次発酵(つまり乳酸発酵)の後に起こる、全てのサイレージ発酵のことを差す。しかしクロストリジウム属細菌による酪酸発酵のみを指して、二次発酵と呼ぶ場合もある。一方で酵母による発酵を二次発酵と呼ぶ場合もあり、この場合は好気的変敗の開始を意味する。最初に乳酸発酵が起こった後の発酵であれば、意味としてはどちらも正しい。日本では、サイロ開封後の酵母による好気的発酵の意味で用いられることが多い。
亜急性ルーメンアシドーシス (SARA)
ルーメンpHが5.8未満に低下し、24時間のうち3時間以上その状態が見られること。
偏性好気性菌
生育に酸素を必須とする微生物のこと。
切断長 (LOC)
原料草の収穫機械であるフォレージハーベスターでは、理論切断長(theoretical length of cut: TLC)を設定できるようになっている。実際に収穫した時の切断長の分布は、必ず確認してほしい。
原料草
サイレージ調製を行う前の作物のこと。トウモロコシの原料草、エンドウの原料草、アルファルファの原料草、イネ科牧草の原料草など。
取り出し速度
給与のために、サイレージをサイロから取り出す速度のこと。一般的にサイレージ取り出し面の掘削量を、1日あたり何センチ、というように表す。農場では、好気的安定性を保てる速さで、サイレージを取り出すことが求められる。
可溶性たんぱく質
たんぱく質がアミノ酸等へと分解されることによって生産される。可溶性たんぱく質濃度が高い場合は、サイレージ発酵中に過剰な蛋白質分解があったことを示している。同時にアンモニア濃度が高かったり、その他の不良発酵を示唆する要素(有機酸の組成等)が見られることがある。
好気的不安定性
酸素に触れる環境下で発熱を起こすサイレージは、好気的不安定性を有すると言える。学術研究においてサイレージの好気的安定性は、一定の発熱(最も一般的には2℃)が生じるまでに要する時間によって測定される。サイレージの発熱のほとんどは、酵母の増殖が原因である(「酵母とカビ」を参照)。
排汁
排汁は、サイロへの詰め込み後に原料草から押し出されてくる液体のこと。
揮発性脂肪酸 (VFAs)
サイレージ中の微生物によって、糖やその他の炭水化物から酸性される酸。名前が示すように揮発性で、温度によるが空気中で揮発する。酢酸、プロピオン酸、酪酸は揮発性脂肪酸であるが、乳酸は揮発性脂肪酸ではない。