サイレージ作りを成功させるには、原料草の成熟度が適切で、天候が良い好機を逃さないことが大切です。2つの条件が揃った適期が来たらすぐに動けるように、あらかじめ貯蔵設備の準備をし、必要な機材・道具を揃えておきましょう。
貯蔵設備の種類
サイレージの貯蔵法や貯蔵設備には、多様な種類があります。求めているサイレージや使用する原料草、気象条件、飼養頭数に見合ったものを選びましょう。
先ず始めに、サイレージに求めている点を考えます。その後、求めている目的に見合った貯蔵設備を(1つ又は複数)選びます。それぞれの貯蔵法に長所と短所がありますので、それらを考慮します。
貯蔵設備 | 長所 | 短所 |
---|---|---|
バンカーサイロ | • 設備上部での腐敗発生が少ない • 原料草の投入が容易 • 他の方法に比べて、取り出しが容易 | • スタックサイロに比べて、設備投資費用が高い |
半地下型またはスタックサイロ | • 設備への投資費用が少なくて済む • 他の方法に比べて、柔軟な飼料在庫管理が可能 • 安定した床面さえあれば、どこでも作れる | • 広い床面積が必要 • 相対的に圧密性が低い |
チューブバッグサイロ | • 余剰のサイレージ生産に使える • 比較的少量の原料草にも対応可能 • 種類や収穫時期の異なる原料草を分けられる | • 相対的に密度が低い • 特別な機材が必要 • ネズミや農機具等でバッグが傷付く • サイレージ1トンあたりの投資費用が高い |
タワーサイロ | • サイレージ1トンあたりの必要床面積が小さい • 牛舎で直接給与を行うのに適している • 十分な密度があり、空気が侵入しにくい | • サイレージ1トンあたりの投資費用が高い • 取り出し時のガスによる事故の危険性が、相対的に高い • 年間のメンテナンス負担が大きい |
ラップベール | • 作物の成熟度に応じて、また、少量の収穫にも、柔軟に対応可能 • 刈り取り時期の異なるものを分けられる • 粗飼料として販売するのに適している | • 特定の機材が必要 • サイレージ1トンあたりのコストが高い |
貯蔵場所の清掃
カビや排汁による汚染を防ぐため、サイレージの貯蔵設備や場所をきれいに掃除しましょう。詰め込み前には、周囲を高圧洗浄しましょう。サイロの壁と床を清潔に保つことは、衛生的なサイレージを作るための重要な第一歩です。アスファルトやコンクリートで固められていない地面に直接バンカーやスタックサイロを作る場合は、地面や壁をまっすぐでなめらかにするよう気をつけて下さい。
加えて必ず、排汁がサイレージから離れた場所へ流れ出るようにして下さい。そうすることで、腐敗による損失を抑えることができます。
貯蔵設備は、傷んだ箇所がないかを必ず確認して下さい。サイレージ発酵によって酸が産生されますが、酸はコンクリート等の床壁面を傷める可能性があります。貯蔵設備のタイプによっては、密閉するカバーの不具合がないかを確認し、必要に応じて修繕して下さい。密閉性を高め、貯蔵設備を酸から守るために、壁面と床面に沿って清潔なビニールシートを敷くのも良いアイディアです。
貯蔵設備への原料草投入中も、清潔さを保つように気をつけて下さい。汚れた車輪のトラクターで、清潔な原料草の上に乗るようなことはしないで下さい。
道具の準備
必要な道具が足りないことのないように、前もって計画的に揃えておきましょう。
用意を考えなくてはいけない道具として、次のようなものがあげられます。
これらのさらに詳しい情報については、各章をご覧下さい。
機材の準備
収穫と原料草の処理に必要となる機材を準備します。サイレージ調製材の添加器(ポンプ)は、消毒が済み清潔で、不具合がないこと、またメーカーの指示通りに目盛り合わせができていることを確認して下さい。
ハーベスターのナイフは研ぎ、より均一な切断が行うことが出来るようにしておきます。ナイフが鋭ければ、刈り取り機に余分なパワーを掛けないで済みます。またシェアバー(受刃)の摩耗や、ナイフとシェアバーの間の隙間(クリアランス)を確認して下さい。隙間が大きすぎると、収穫が遅くなり、不均一な断片が生じることがあります。
カーネルプロセッサー(コーンクラッシャー)を使う場合には、前年度の使用で傷んだところがないか全ての機材を確認します。そしてローラの幅を、利用する作物に適した値に設定して下さい。
さらに詳しく
高品質なサイレージの作り方について、もっと詳しく知りたい方は、専門家によって書かれたこちらの資料もご覧ください。